08.低音ヴォイス
「さん、逃げようとしないでよ。オレ、悲しいな〜。」
「に、逃げないから、とりあえず下ろして!」
「ダメ、しばらくこのままでいて。」
耳元から、ユチョンくんの低い声が脳内に響く。
後ろからユチョンくんに抱きかかえられ、そのままソファに座っている私たち。
絶対重いのに、ユチョンくんは意地でも私を解放するつもりがないらしい。
恥ずかしいから、せめて隣に座らせてくれと頼んでも聞いてもらえない。
「なにも恥ずかしがることないでしょ?」
「っ、恥ずかしいよ!」
「なんで?いろんなこと想像しちゃうから?」
「もう、ユチョンくん、離して!」
「だからダメだってば。」
ユチョンくんの低い声が聞こえるたび、背筋や首筋にゾクゾクと何かが走って体が縮こまってしまう。
それを見てユチョンくんはくつくつと笑っている。
どこが楽しいんだ、こんなとこ見られて、恥ずかしさしかない。
「さん、オレも好きだよって言ったら、どうする?」
「は…」
「ま、好意があることはきっとお見通しだったと思うけど…オレもユノヒョンみたく、告白したらどうする?」
それまでじたばたしていたのに、ユチョンくんの言葉に動きを止めると彼はまた笑った。
動揺しすぎ、と、愉快そうに笑う。
私の思考回路が出来事に追いついていけなくて、どうしてこんな質問をされているのか理解できなかった。
確かに、ユチョンくんは私のこと嫌いではないんだろうな、とは思っていたけど。
こんな形で想いを暴露されるなんて、思ってもいなかったから。
「たぶん、オレやユノヒョンだけじゃなくて、メンバーみんなさんのこと好きだよ。」
低い声が私の脳内に響き渡って、侵食していく。
「もちろん、オレは誰にも負けないくらいさんのこと愛してると思う。」
(人生最大のモテ期到来?)
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