明日が勝負の日。



絶対に負けられない。






負けは、許されないんだから。










君ならきっと大丈夫











ー、僕たちで先にお風呂入っちゃうよー?」




「…うん、……うん…。」







ドアの向こうからかけられたジェジュンオッパの言葉に適当な返事を返し、私は机の参考書と格闘する。





明日は、受験日当日。







都内の大学を受験するために、一昨日からオッパたちの家に泊めてもらってる私。



ジェジュンオッパの親戚の私を、他の4人は快く受け入れてくれた。




作曲に使っている部屋から楽器をオッパたちの部屋に移して、机や布団、電気ヒーターを置いてくれて。



期間限定の私の個室を作ってもっちゃった。




しかも朝昼晩の食事も用意してもらって、明日はユノオッパが受験会場まで車で送ってくれる。






こうなったら、なにがなんでも合格を掴み取るしかない。




もちろん、それは私のためでもあるけど。











――コンコン





、ちょっといい?」




「あ、はい!…どうぞ。」







リスニング対策に聞いていたCDを停止して、私はドアを開けた。



途端、ふわっといい香りが鼻をくすぐる。






「ちょっと休憩しない?みんなでお茶にしよ。」




「あ、はい。」








お風呂上りらしいユチョンオッパにつれられて、私はリビングに向かう。





テーブルの上にはコーヒーと紅茶、シフォンケーキが置かれていた。




いい香りの原因は、きっとこれ。









「お、。頑張ってるな。ほら、甘いもの食べて少し休みな。」






ユノオッパが自分の横の椅子をひいた。



私が座ると、シフォンケーキを切り分けて「はい。」と目の前に置いてくれた。







「肩の力抜いて気楽に挑めば、きっと上手くいくよ。」






そう言って微笑んでくれたユノオッパ。




私は、ユノオッパの笑顔が大好き。



だからつられて私も笑ってしまう。







ちゃんなら大丈夫だよ。」




「――! チャンミンオッパ…!」







いきなり肩に両手を置かれて、恥ずかしくなるぐらい体をビクつかせてしまった。




そんな私を見て笑う5人。





当のチャンミンオッパも、声を出して笑っている。







「ごめん、驚かせて。そんなにびっくりした?」




「い、いきなりだったから…。」




「はは、ごめんね。」







チャンミンオッパは私の頭を撫でて、自分の定位置の席に座った。





それと同時に、ジェジュンオッパとジュンスオッパがキッチンから出てきた。




可愛らしい色とりどりのクッキーがテーブルに置かれる。







「(こんな時間に食べたら太っちゃうな…)」






時計の針はもう10時を過ぎている。



そんな心配をしながらも、せっかく用意してもらったんだし…なんて理由をつけて食べてしまう私。








「受験かー…あの時は緊張したなー。」





ジュンスオッパの声に、他の4人も頷く。



みんな当時を思い出しては、興奮気味に話したり大笑いしたり。






私は高校受験のときはなぜか全然緊張しなかったから、受験の緊張を味わったことがない。




ただ、今回はそうはいかなかったみたい。





今までいっぱい勉強して頑張ってきたけど、明日のこと考えると気が重くなる。




こんなこと初めてで、受験する前からそれなりに緊張してた。





大丈夫だってどこかで思う自分がいる反面、もし合格しなかったら…なんて事を考えてしまう。




マイナス思考はよくないって、わかってるんだけど…













、難しい顔してどうした〜?」




「…え?」




「眉間にシワがよってた。」







ユチョンオッパの言葉に、みんなが一斉に私の顔を見る。





こういう雰囲気に慣れてないから、あたふたしながら「なんでもないです。」なんて言うことしかできない。




こんなとき、機転が利く人は言葉巧みに上手くごまかすんだろうな。








。…はい、これ。」







ユノオッパから差し出されたプレゼント。




「開けてみて。」とジェジュンオッパに促されて、慎重に包装紙を開けていく。






中には、中身入りの筆箱と、『合格祈願』と書かれたお守り。



そして、ネックレス。









「俺たちからのプレゼント。明日、が全力を出せるようにって。」




「ユノオッパ…。」





「大丈夫、なら合格するさ。だって、今まで一生懸命やってきたんだから。な、そうだろ?」




「努力は絶対、を裏切ったりしないよ。」




「オレたち、応援してるからさ!」




「受験が終わったら、みんなで慰労会しようよ、ねっ!」




「ヒョンたちとここで、待ってるから。」







オッパたちの言葉は、みるみる私の緊張をほぐしていった。




さっきまでの暗い気持ちが嘘のように晴れて、私はもう一回プレゼントに目を落とす。






なんだか急に、自信が湧いてきた。










「オッパ…ありがとう、大事に使います。」







私が頭を上げると、5人は笑って頷いてくれた。





糖分摂取は大切だから、ガンガン食えー! なんてユチョンオッパが私のお皿にクッキーを山盛りにしたり。




ユノオッパが紅茶を注ぎ足してくれたり。




みんなで私のために応援歌をその場で作って歌ってくれたり。







私の決戦前夜は、とても賑やかで楽しいものになった。





明日はきっと、大丈夫。




みんなに、たくさん力をもらったから。







きっと明日は、笑顔でこの家に帰ってこれる。










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2011.1.14

明日はセンター試験1日目!
ということで、受験生ヒロインものを書いてみました。
香澄は受験を終えた身ですが、やっぱり当時は緊張した…
早く終わらないかって、そればっかり考えてました(笑)

受験生の皆さん!
受験日は悪天候に見舞われるというニュースもありますが、負けずに頑張ってください!
自分を信じて、全力を出し切ってね!