すごく久しぶりに、私とユチョンの休みが重なった。
たった1日だけ。
貴重な時間だけど、普段2人きりの時間を取れないからその分家でゆっくりしようか――
そうユチョンに提案したら、ユチョンは軽く首を横に振って軽くドライブに行きたいと言ってきた。
私の運転で、人があんまりいない近場まで。
「めずらしいよねー、私の車で外行きたがるの。」
今までは大体ユチョンの車で、ユチョンの運転で出かけていたのに。
広くて高級なユチョンの車とは違って、私のは通勤と買い物がメインのコンパクトカー。
ユチョンはかなりリラックスした様子で助手席に乗り込んでいた。
いつもは人を乗せないから、誰かが乗るとこんなに距離が近づくなんて知らなかった。
「たまにはね。」
倒したシートに全身を預けたまま、流し目で私を見てくる。
ああ、この顔好きだな。
そんなことを考えながらエンジンをかけて、目的地のないドライブが始まる。
運転中、てっきりユチョンは寝ちゃうのかと思ってたのに、力の抜けた低い声でずっと私と会話をしてくれた。
今日の夜は何が食べたい、
この間ビルボードチャートで知った誰々のなんとかっていう曲がすごくよかった、
スマホのケースを新しくしたい、
お気に入りのスニーカーの新モデルが出た、
今朝のニュースで見た占いで11位だった、
あと何年後に老眼が始まるかが気になる、
脈略なんてお構いなしでポンポンと出てくる話題に、私はひたすら相槌をうつ。
それでも妙に心地がいいのは近距離でいるせいか、ユチョンの声のせいか、久々の時間だからか……
小一時間車を走らせて見つけたカフェに立ち寄って、ケーキに舌鼓をうちのんびりと過ごす。
さあ帰ろうと車に乗り込むと、ユチョンがいつの間にかテイクアウトしたらしいカップを手に持っていた。
「はい、これ。さっきのとは違うやつ頼んだ。カフェラテ。」
「ありがと。ユチョンのは?」
「一緒。」
こういう些細なことに幸せを感じると、心がほこほこしてどうしても口角が上がってしまう。
帰り際もユチョンは私を飽きさせることなく会話をしてくれたけど、ある曲のイントロが始まるとそれがぴたりと止まってしまった。
「ユチョン?」
結構昔に出たユチョンのソロ曲。
全部英語の歌詞で、恋人に愛情を伝えてる甘いラブソングだ。
懐かしい曲だなって思ってるのかな、と思った矢先、車内に流れる曲に合わせてユチョンが歌い始めた。
音源とは微妙に違う歌い方。
鼻にかけたような甘い声と、息の抜き方と使い方。
歌ってる間中、ずっとユチョンからの視線を感じていて、曲の終わりの方は自分でもだいぶ赤面してる自覚があった。
「、めっちゃ照れてる。」
「もー、びっくりするじゃん。」
「オレの曲入れてくれてるんだなーと思って。」
「いい曲だし、好きだから……」
「ふーん。」
歌が終わってもなお感じる視線に、顔に上った熱がなかなかひかない。
「今日はいいドライブだった。」
ご機嫌な声色でそういうユチョンの笑顔に、体温がもっと上がるのを感じた。
カフェラテにひとさじの愛を
(My Girlfriend)