私を捕まえて。捕まえたら離さないで。
そのままあなたと繋いで。あなたも私もどこへも行かないように。
いっそどこかに、沈んでしまいたい。
センチメンタルナイトフィーバー
「ジェジュン、私をつぶす勢いで抱きしめて。」
きょとんとした目で私を見つめるジェジュン。その表情は、しばらく何の変化も見せなかった。
どうしたの、と聞いてくるときも表情は変わらず。
ベッドに腰掛ける私の隣に座って、ぽんぽんと数回頭を撫でてくれたときも同じ顔のまま。
「今日はなんだかね、センチメンタルなの。」
「うん、そんな感じするね。の顔、いつもよりしょげてるし。」
よしよし、なんて言いながら私の肩を抱き寄せて再び頭を撫でてくれるジェジュン。
彼の香りの染み付いた部屋着に顔を押し当てると、ジェジュンは照れくさそうに笑いながらも私を抱きしめてくれた。
「大好きなをつぶすなんて、やっぱり僕にはできないな。」
優しい声が歌うようにそう言うものだから、センチメンタルな私の涙腺はいとも簡単に緩んでしまった。
誰かに引っ付いていたいという私のわがままをジェジュンは言葉にせずともわかっていたらしく、何も言わずにただ抱きしめてくれる。
時々、子どもをあやすそれと同じように私の体に優しい振動を一定のリズム与え、私の心を落ち着かせてくれた。
私が意味もなくジェジュンの名を呼んでも、「なにー?」とか「はーい」と和むような返事をくれる。
静かで優しいその声色は、どうしてこうも心地いいのだろう。
だからこの人がつむぐ歌声は、多くの人に好かれているのだろう。
「ジェジュンー…」
「んー?」
「胸が、苦しい。」
「…そっか。また泣いてもいいよ、僕しかいないから。僕しか見てないから。」
ジェジュンの優しい瞳。
見つめていたら吸い込まれてしまいそうで、ずっと直視することができなくて、胸の苦しさから出た震えたため息にその瞳が柔らかく微笑んだ。
涙は出ない。
出ないけれど、表現しきれない感情が自分の中に渦巻いていて、胸が苦しくなる。
「なんでセンチメンタルになんかなっちゃったんだろー。」
「の中にストレスがあるからじゃないの?」
「…よくわかんない。」
「無理は禁物。ちゃんと悩み事があるんだったら吐き出すんだよ。僕がいつでも何でも聞いてあげるから。」
「……私のお願いも、聞いてくれる?」
「もちろん。どんなお願い?」
こんな素敵な人を私なんかが恋人にして、本当によかったのだろうか。
傲慢でよくわからない私のわがままをそのまま口にしても、ジェジュンはたぶんバカにしない。
笑ったりも貶したりも、呆れたりもしないだろう。
なんて、いい人なのだろうか。
「?」
「…抱きしめたまま、一緒に寝てくれる?」
「お安い御用だよ、。」
眩しいほどの微笑みが、胸に突き刺さるように痛い。
なんでこんな素敵な人が、私なんかの恋人なんだろう。
すごくすごく、うれしくて幸せだ。
この人は私の恋人。ジェジュンは、私の、世界でたった一人の一番大切な恋人。
ほかの誰でもない、私の。
「ねえジェジュン大好き。」
「どうしたの、そんな切羽詰るような――」
「大好き大好き。もう、好きすぎてつらい。生きるのつらい。」
「えっ!それは困った!でも嫌いになられるのは僕もいやだから、つらくても生きてね。」
「もー…ジェジュン好きー!つらいー!」
「あはははは。僕も大好きだよ、生きるのつらいー!」
自分でもわけのわからない、脈略のない言葉やら話しを矢継ぎ早にしたってジェジュンはこうやって笑ってくれる。
ノってくれて、笑ってくれて、最後にはちゃんと包み込んでくれる。
幸せで満ち溢れたところに、今私はジェジュンと二人で、深く深くへと沈んでいくのだ。
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2012.8.10
じぇじゅんの包容力に夢を見ています。
彼の包容力はメンバーの中では一番じゃないかと勝手に妄想しています。なんたって母ですからね!
おセンチな夜はぜひジェジュンに横にいてもらいたいですね。