Mr. Trapper







久々にゆっくりと湯船に浸かれた。



極上のバスタイムを終えて、下だけジャージ姿になってからリビングに戻る。


騒がしいバラエティを見ながらがソファでくつろいでいた。




も入ってきちゃえば?」


「うん。」




僕と顔を合わせて頷いたにも関わらず、抱きかかえたクッションを放そうともせず再び目線はテレビへ。



この番組、そこまで釘付けになるって程面白くないじゃん。


なんて思いつつ、僕は冷蔵庫から缶ビールを一本だけ取り出してプルタブを起こした。


プシュッと独特の音がする。




「ジェジュンは私と一緒にいて楽しい?」




ごくり。



口に含んだビールが滝のごとく僕の体内に飲み込まれていった。


の瞳はじっと僕を見つめている。


ビールが腹に沁みる。




「楽しいよ。つまらなさそうに見えた?」


「ううん、そういうんじゃないの。ただちょっと、気になっただけ。」




二口、三口。


喉を通って食道を下って、ビールがどんどん胃に溜まっていく。


はもう一度テレビに顔を向ける。




気づいたら缶ビールは空になっていて、気づいたら僕はの横に座っていた。



相変わらずテレビからはにぎやかな音声が流れてくる。





、キスしよう。」


「え、なにいきなり…。」


「キスしたくなっちゃった、ね、いいでしょ?」


「ちょ、顔近いから!」




躊躇なくの手のひらが僕の唇の行く手を阻んだ。


の照れ隠しの一つだから、慣れてるといえば慣れてるけど。



拒まれると何がなんでもキスしたくなる。





伸ばされたの手首をがっちりと握り、逃げられないように確保。


ぽかんとした顔を見て「かわいいなー」なんて思いながら、の手のひらに口をつけたままパクパクと動かした。





「ジェジュン、なにしてるの?」


「んー。」


「ちょ、ちょっと!」




意識して流し目をしながらを見下ろす。


少しは色気のある顔になったかな、と思ったところで、の手のひらをぺろりと舐めた。



当然、は肩をビクつかせて腕を引こうとする。


一気に顔が真っ赤になって、目が潤み始めた。



扇情的なに、イタズラはどんどんエスカレートしていく。




「やだ、なにしてんの…っ」




舐めるだけじゃなく、わざとリップ音を立てたり軽く吸ったり執拗にを追い詰めていく。



明らかに性的なこの行為に、は僕から顔を背けてしまった。


よくよく見ると肩がわずかに震えている。




といるとすっごく楽しいよ。」




ようやくイタズラを止める。


けど、捕まえた手首はそのまま。



に気づかれないようにじりじりと間合いを詰めていく。



潤んだの瞳が僕だけを捉えている。


何かを言いたそうに、唇を噛み締めて。




「私はあなたのおもちゃじゃないんですけど…」


「もう一回やっていい?」


「だめ、絶対だめ。」




そう言い終えたタイミングでを抱きしめた。


僕の唾液で濡れたの手のひらが、僕の腕に触れた。



ヒヤリと冷たい感触が湯冷めした身体に響く。




首筋に顔を埋めての香りを堪能する。



今更ながら変態じみたことしかしてないなぁと思う。




「…お風呂、入ってくる。」


「じゃあ一緒に入ろう。」


「ジェジュン、今入ってきたばっかじゃん。」


「湯冷めしちゃったんだもん。」


「上に着ないからでしょ!? もー…じゃあ先に入ってきなよ。」


「一緒にじゃなきゃ入らない。一緒にいたい。」


「っ……ジェジュンって、本当によくわかんない。」




おでこに一度キスをすると、が深いため息をついた。


僕は勝手ながらもOKが出たということにして、彼女をお姫様抱っこをしてバスルームまでのわずかな距離を歩いた。





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2013.1.10

最近書くものが変態じみてしょうがないです、すいません。