いつも強がってる君が、時折しおらしいところを見せたりするとぐっときたりして。



やっぱり女の子なんだなあ、と、当たり前のことを再確認する。




せめて僕の前だけでは強がらなくていいよって言うんだけど、また頑張っちゃうところとか。



可愛くないなあって思うけど、でもやっぱりそんなところが可愛かったりして。





には敵わないなー。」


「なんの話?」


「なんでもない。」






僕だけの






小さいころから男兄弟に囲まれて、そういう環境で育ったから男勝りな性格なんだって言ってたよね。


僕とはまるで正反対の環境で育ったんだって。



でも、僕思うよ。



はいつも僕のこと乙女だとか女々しいとか言うけど、僕なんかよりずっとのほうが女々しい乙女なんだって。




まあ、女の子なんだからそうあって当然なんだけど。




そして僕は、君に思われてるほど女々しくないからね。れっきとした男なので。



そこは、甘く見てほしくないなあと思うよ。






そんなことを考えながら、目の前でナポリタンをおいしそうに頬張るを眺める。



口の周りを少し汚して、大きな一口でたくさんの量を口の中に入れる。



うん、確かにそこは、男っぽいかもしれない。





「なに?ジェジュン、あたしの顔になんかついてる?」


「口の周りにケチャップが。」


「ん、あとで拭く。食べ終わったら。」


「うん。(あー、可愛い。)」





ガツガツという擬音語が正しいような食べ方をしながら、は僕を凝視する。


僕も負けじと微笑を絶やさずを見続ける。





「…見られると食べづらい。」


「(って言いながらしっかり食べてるけどね。)だって、見てたいもん。」


「面白くもなんともないと思うんだけど…」


「そんなことないよ。僕はいつでもを見てたいしね。」





じと、とに睨まれ、僕はより一層笑みを深くする。


そんな顔もきっと僕だけにしか見せない表情だろう。



そうであってほしい。







がナポリタンを食べ終わったので、僕たちは手をつないでカフェを出る。



生暖かい風が吹き抜けて、春を感じさせる陽気に思わず目が細くなった。




「行こ。」と手を引くと、は「ん。」とだけ言って僕と目を合わせてくれる。


その瞬間がたまらなく好きで、僕の頬はいつも緩んでしまう。




こんなに愛おしく思える人は、今までもこれからもだけだと断言できる。





「また鼻の下伸びてるよ、ジェジュン。」


「え? そんなことないよ、の勘違いだからそれ。」


「すっごい伸びてるよ。あと、鼻の穴ふくらんじゃってるよ。」


「それも気のせいだよ。」


「ジェジュンってほんっっっとーにあたしのこと好きだよね。」





そういうこと、自分で言っちゃうところもすごく好き。



僕に手を引かれながら歩く姿も、僕のことをいろんなテンションで呼ぶ声も、なにもかも。





「うん、大好きだよ。」





どんなに伝えても伝えきれないほどには、大好きだよ。



笑顔にのせてそんなことを言うと、は顔を赤らめもせず「ふーん。」とだけ言い放った。


それを見て、僕はふふっと笑い声が漏れてしまう。




平静さを精一杯装って、本当は嬉しいくせに。


顔が赤くならないからわからないと思ってるのかな?



きっとに犬みたいなしっぽがついてたら、ブンブン千切れそうになるくらい振り回してるだろうね。





は? 僕のこと、好きじゃないの?」


「好きじゃなきゃ一緒にいないよ。」


「それもそうだね。(まったく、素直じゃないなあ。)」





さっきから僕の頬は緩みっぱなし。


といるだけで、いつもこうだ。



僕のほうこそ、犬の尻尾がついてたらわかりやすいくらい振り回してるかもしれない。





「ね、。」


「なに?」


「今日は、一緒のベッドで寝ようね。」





体を屈めて、の耳元で吐息を含ませながら囁く。



そのまま横顔を見ると、は一気に赤面して僕に勢いよく振り返った。



さっきは顔に出さなかったくせに。ほんとに、可愛いんだから。





「その前に、映画だね。もう始まっちゃうよ、急ごう。」





にやけた顔をどうすることもできず、僕はそのままの手を引く。



はまだ何も言ってこないけど、少しだけ熱の上がった彼女の手のひらからは痛いほどの愛が伝わってきた。








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2013.4.10

ほのぼの甘を目指した結果。長いだけになった。