高価なプレゼントも、豪華なデートもいらない。


小さな幸せがちょうどいい。




そう、たとえば――






こうして私の傍にいてくれることとか。





「…せっかく会えたのに、どこにも行かなくていいの?」


「いいの。ジェジュンと一緒にいれるだけでいいの。」


「…まあ、それでよければ僕もいいけど…。」





会えたって言っても、ジェジュンが仕事のために滞在してるホテルで、だけど。



優雅な雰囲気が漂うこの部屋で、2人でティータイムなんて…素敵じゃない?




外に出て遊ぶのも好きだけど、仕事を控えてるのに連れ出しちゃったら疲れ溜まっちゃうし。






「髪、染めた?」





ジェジュンは私の些細な変化に気づいてくれる。



ちょっと色を濃くしただけなのに。他の人は、ほとんど気づかなかったのに。





「…ふふっ。」


「何、笑ってるの?僕なんか変なこと言った?」


「ううん、違う違う。…髪の色、よく気づいたなーって。」





何でかしらないけどますます笑いがこみ上げてきちゃって、私は手で口元を覆いながら笑った。



ジェジュンは多少呆れた顔をしてるけど、ふと何かに気づいた顔をして――






「…?」






スッと立ち上がり、自分のカバンを漁り始めた。



携帯の音でも聞こえたのかな。


…もしかして、緊急の仕事が入ったとか…








「手、出して。」



「…なんで?」






一人で勝手に落胆してた私の前に立ち、一言。



手を出す前に、ジェジュンは私の手首を掴んで人差し指を撫で始めた。




…というか、何か塗っている。






「何?ジェジュン…」


「手荒れしてる。もうすぐ乾燥するし、こまめにハンドクリーム塗っといたほうがいいよ。」


「…あ、りがと…。」






急に照れくさくなってしまった。


まさか、こんな小さなことまで気づくとは。



っていうか、なんか……私のすぼら加減が明るみになった感じ…




「よし、オッケー。」なんて微笑むジェジュンに、なぜか顔を合わせ辛くなった。





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やっぱり小説書くの楽しい!(笑)
名前変換なしって難しいけど。
少しでも場の雰囲気が伝わればいいな〜(´v`*)

09.10.5




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早く、家に帰りたいな。




1日中履いたヒールのせいで足は痛いし、じめじめした気候のせいで化粧は崩れまくるし。


お腹減ったし、眠いし。




電車で帰ろうかと思ったけど、座れないと地獄だ。



改札に向かう足を逆方向に転換させて、片手にiPod、片手に携帯で電話帳を開く。





「(飲んでませんよーに……)」





電話のコール音が切れるまで、iPodをいじって待つ私。




『…あ、もしもし?』


「私。迎えに来てほしいんだけど……飲んじゃった?」


『今日は飲んでない。どこにいる?』


「……珍しい。禁酒でも始めたの?」




翌日の仕事に影響がなければ、必ずと言っていいほど飲んでたくせに、今日に限って飲んでないなんて。





『今日は飲まない方がいいかなーって、なんとなく思ったの。呼ばれそうな気もしたし。』


「さすが、ジェジュン。」


『代わりに今日はユチョンがすごい飲んで、今つぶれてる。で、どこに行けばいいの?』





電話の向こうで、ユチョンの(何言ってるんだかわからない)声と、ジュンスの爆笑、ユノとチャンミンのちょっと呆れた声が聞こえた。


盛り上がってるらしく、すごい楽しそう。




『…さすがに迎えに行く場所は教えてもらわないと、わからないよ。』


「あ、ごめん。」





早く家に帰ったら、あの輪に入れるかな。


もしかしたら、ユチョンは完全に寝ちゃってるかな?




それ考えたらなんだかおかしくなって、笑いながら場所を伝えると『どうしたの』って言われちゃった。





「ねージェジュン。」


『ん?』


「早く迎えに来てー。」


『……はいはい。』




電話を切ったあと、ジェジュンの呆れた笑い声にもっと顔の筋肉が緩んで、すれ違う人たちに訝しげに見られてしまった。





「早く来ないかなー。」



さっきまではこんな気持ちじゃなかったのに、不思議。


早く、家に帰りたいな。

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10.6.12




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周りから

どんなに批判されても


どんなに罵声を浴びせられても、



私はあなたと一緒にいる道を選ぶ。




だってそれが、



私の "幸せ" だから。







「……後悔してない?」


「してないよ。ジェジュンは?してるの?」


「してないよ…不安は、あるけど…。」


「…うん、私も不安、あるよ。」




繋いだ手から伝わる互いの体温。



人の温もりに触れているだけで、


こんなにも安心できるのは

なぜだろう。





「ジェジュン、」


「…なあに、」


「怖い?」


「……大丈夫だよ。」

一緒にいてくれるなら、大丈夫。




そう言って、

ジェジュンは繋ぐ手に力を込めた。



私もそれに応えるように、


強く 強く

握り返す。






「…すごく、安心する。」

ありがとう。



ジェジュンのそんな言葉にさえ、

ものすごく幸せな気持ちになれる。



私も安心するの。





「ジェジュン……。離れないからね。」


「…うん、離さないから。」





ああ、幸せ。



私にはこの人が唯一無二なんだって、

今改めてわかった。

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10.10.15




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「ねえ、これ取ってよ。」





私と手を繋いだと思ったら、パッとその手を離して途端にむくれるジェジュン。



これ、

と、私がしている手袋をチョイチョイと引っ張っている。




寒いからイヤ、



引っ張られた手袋を直しながら言うと、


僕の手、暖かいから平気。


なんて言って、

半ば無理矢理に私から手袋を剥ぎ取った。





「あっ…」


「直接手繋いでたいの。いいでしょ?」


ほら、僕の手暖かい。




にこやかに、ジェジュンはそう言って私の手を握った。



奪われた手袋は彼のポケットの中。





確かにジェジュンの手は暖かくて、


私はなんだかすごく、安心した。


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10.12.05

ポロッと、手袋をとるじぇじゅん、というネタが浮かんだもので。




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私たちの出会いからここまでの道のりを説明すると、大抵回りの人は口をあんぐりとあけて絶句する。

あんたたち、ホントに好き合ってんの?
と、友達に言われたこともあった。

好き合ってなきゃ、結婚なんてしないんだけど。


だって、私もジェジュンも、出会ってすぐ運命感じたんだもん。

そう言うと、周りの人は決まってため息をつく。

どうしてそういう反応をされるのかよくわからない。



私とジェジュンは、出会って3日で結婚した。


1日目に出会い、デートをした。

2日目にデートと、やることをやった。

3日目に、デートして結婚しようってなった。


お互いに一目見たときから感じるものがあったんだ。

だから世間的には早いゴールインかもしれないけど、私たちにとって特別変わったこととも思ってない。


相手のことは好きだし、将来の設計だって私たちなりに立てている。



「そんなに変なのかな…ジェジュン、どう思う?」

「周りからしてみたら変なのかもね。でも僕は何とも思わない、すっごく幸せ。」



ジェジュンが笑う。

私もつられて笑う。



子どもだけはしっかり考えなよ、と友だちに念を押された。


未来の家族には、もうしばらく先にならないと会えない予定。

まずは2人の時間を楽しむことから始めよう。




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2011.5.12





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人生何が起こるかわからないものである。

宝くじに大当たりしたり、多額の借金を背負うことになったり、運命の人と呼べる人と出会えたり。

それらに小さな予兆があったとしても、どっしり身構えてことが起こるのを待つことはできない。


だから僕たちがこの状況に陥るなんて思いもしなかったわけで、何らかの準備もできなかったわけで、それは誰を責められることでもない。


「あー、あっ!」

「こら!口の周りベロベロしないの、余計汚れるよ。」


口の周りによだれをいっぱいつけた赤ん坊。
この子の名前は、何の因果関係か知らないけど偶然にも僕たちにとって大切な、彼女の名前と同じだった。

まん丸でやわらかい、女の子の赤ちゃん。
この子を、僕たち5人で育てることになってしまった。
しかも、僕たちの大切な彼女の行方が、わからない。


これは、どういうことなんだろう。



「ジェジュンヒョン、離乳食買ってきたよー!」

「オレたちはとりあえず、女児用の服買ってきた!」

「ありがと、チャンミン早速で悪いんだけど、作ってもらっていい?ユチョンはとりあえず、オムツとか頻繁に使うものをリビングに置いてくれる?」


今まで育児経験なんかない僕たち…

(僕が姉さんたちの子供をあやしたりすることはあったぐらいで、全員小さい子供につきっきりになったことはない。)


これからどうなるやら、お先真っ暗だ。



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2012.9.30