いつから、なんてわからない。
気がついたらそこにがいて、気がついたら血を吸われた後だった。ただそれだけ。
光陰
その時も今も、は結構無表情でいることが多い。
物静かだし、必要なこと以外はほとんど喋らないし…。
僕やヒョンたちのやり取りを見て微笑むことはあるけど、それでもやっぱり表情は乏しい。
「は思いっきり泣いたり笑ったり、しないの?」
見た目の年齢は、僕たちとそう変わらないはず。
周りに面白いことがあれば笑うだろうし、悲劇的なことがあればショック受けたりすると思う。
が人間じゃないから、っていうのは、なんとなく僕的にしっくりこないんだ。
「…そういう感覚が、あんまりよくわからないんです。」
「え?なんで?」
「経験してないから…じゃないでしょうか。」
「…どういうこと?」
こうやって僕との会話中であっても、やっぱり今は無表情。
ヒョンたち曰く、たまに表情らしい表情を見せるっていうけど。
それも長くは続かない、みたいだ。
「小さいときとか、いろんなものに囲まれて笑ったり、泣いたりしたでしょ?」
「私、気がついたときにはもう今の状態だったんです。」
「……それって…」
「私に幼少期は、存在してないみたいで…。」
うそ、だろ。
そんなことがありえる?
いや、ヴァンパイアが存在するんだからありえなくは…
でも年月を重ねないでいきなり、今?
それって時空間とか、どうなる?
「…ごめんなさい。これからはちゃんと、笑うようにしますね。」
…ああ、ヒョンたちが言ってた表情らしい表情って…
悲しげな微笑、だったんだ…?
「(僕にはどうすることもできない…きっと…)」
同じ場所で 一緒に生きたかった(Title by LRLB)
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2009.10.1
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