「。今日が何の日か知ってるか?」
「……。」
堕落
「その反応は、知ってるって解釈していいんだな?」
「…私は、どうすればいいんでしょうか。」
俺の言葉は、どうやらに誤解を招いたようだった。
困らせるために言ったんじゃなくて。
ただ理由もなしに…今日はカレンダーにも記載されてるイベントの日だから。
俺の腕の中でうな垂れる。
俺の言葉のせいで、吸血しづらくなったんだろう。
「。今日は、俺がに”お菓子”をあげる側だ。だからは仮装した子供役。」
”子供役”っていうのもどうかと思ったけど、今の俺に他の表現ができる余裕はない。
弁解のつもりじゃないけど、気持ちが急いている。
「”お菓子”として、俺の血をいつもより多くあげるってことだから。」
「――っそれじゃあユノさんが…!」
「今日はそういう日なんだよ。ただでさえ、最近のお前の痩せこけ方は尋常じゃない。」
5人みんなで心配してるんだ。
前よりも確実に吸う量が減ってることは、全員が気づいてる。
体調がここ最近良くなってきてる、それに引き換えは――
「みんな何回も言ってると思うけど、お前が悪いと思う必要はないんだ。」
「…違う……だって私のせいでっ…」
「俺たちは、自分の血での命を繋げてる…俺たちがお前の糧になってることが嬉しいんだよ。」
ハッと顔を上げたは、俺が今まで見てきた中で一番…ヴァンパイア離れしている表情。
「別に天狗になってるわけじゃない。ただ、本当に心から嬉しく思ってる。大切な人の、役に立ててるんだって。」
普通の人からしてみたら異常な感覚なのかもしれない。
の存在を疑う人もいるだろうし、俺たちに「目を覚ませ」って言う人もいるかもしれない。
でも。
たとえが人以外の、ヴァンパイアだったとしても、俺たち5人にとっては大切な存在。
俺たちにとって立派な、女。
奇妙な出会い方だったけど、だからこそ惹かれてしまった。
「自滅みたいなことは、やめてくれ。」
今更いなくなられたって、俺たちの心に穴が開くだけだから。
きつくきつく抱きしめると、も俺の背中に腕を回して小さく頷いた。
心なしか、が泣いているような気がした――
でもきっと、こんな関係じゃなきゃ出逢えなかった(Title by LRLB)
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2009.10.1
2009年ハロウィン小説、これにて完結です。
いやー…ヒロインはヴァンパイア設定、ちょっとやりすぎたかしらとも思いますが^^;
楽しかったです、書いていてとても。
作品の雰囲気的には甘いわけでもなく、どっちかっていうと切シリアス?ですが。
一番最初は、メンバー5人をヴァンパイアにしてみようかと思ったんですが…ヒロインに変更。
そして話の最後、ここではヒロイン生きてますが最初は…その、消えてしまいましたオチにしようかと思ってて。
なぜかこう転んでしまいました。(笑)
実は今回、すごくノッていたのか1話から5話ぶっ通しで執筆した作品でもあります。
私にしてはとても珍しいことなんです!
…話の一貫性はそこまで強くしてませんが;(おい)
そして、LRLB様からお題をお借りして、それをもとに5話構成させてもらいました。
2度目ですが、とっても楽しかったです!
一足早いですが、2009年ハロウィン…今年は一味違う感じでお届けしました(笑)