冬の街中って、なんでクリスマスが過ぎてもイルミネーションを外さないんだろう。


ライトアップされた光が冷たい空気に映えるから、かな?




ここ、都内のど真ん中にある待ち合わせスポットとなっている広場にもイルミネーションはまだ残っていた。



クリスマスほどではなくても、ところどころに残る輝きに思わず頬が上がってしまう。




というのは、口実にすぎなくて。





「んふふ、んふ……ふふっ。」


「なに〜。、その笑い方気持ち悪い。」


「うふふ、心にも思ってないくせに!」





ニヤケ顔全開でジュンスを見上げる私と、照れ笑いをしながら私を見下ろすジュンス。


抱き合うほどの近距離でこんなことをしてるから、傍から見たら相当痛いカップルだ。




でも、今日ばっかりはそう思われることもあまりないだろう。(あっても気にしないけど。)


周りにいるのは私たちのようなカップルばっかり、みんな自分たちの世界に浸りきっていて他人なんて全然気にしてない。



だから私も周りを気にせず、堂々と目の前のジュンスに見とれることにしたんだ。





「なに〜、も〜……、言いたいことあるんだったら言ってよ。」


「私、ジュンスの笑ってる顔大好き。」


「…………もーお!」


「言いたいこと言えって言ったのジュンスじゃん!」


「そうだけど!……っ、も〜…。」


「もーもーうるさいなあ。」





手のひらで目を覆って顔を背ける。


ジュンスが照れてるときにとる仕草だ。


ド直球で言われることにいつまで経っても慣れない、恥ずかしがりやなジュンス。



なんてかわいいんでしょう!





こんなかわいい面を持ち合わせていながら、内にはしっかりと歳相応の男らしい一面もあって、ほんとに魅力的な人。


毎日日を追うごとに好きっていう気持ちが大きくなっていく。



かわいくてかっこよくて、セクシーでいて純粋で。おちゃめで照れ屋で恥ずかしがり屋。



ジュンスのことならいつまででも語っていられる、それくらい大好き。




こーんなに大好きな人と一緒にいられるなんて、息が詰まるくらい幸せ。







「あと5分だね。」




照れ隠しのつもりなのか、話題をそれとなくすり替えてきた。



新年までのカウントダウン。


ジュンスの言うとおり、広場の大時計は11時55分を過ぎていた。



周りのカップルたちもそわそわし始めている。



大して何かがかわるわけじゃないんだけど、年が変わる瞬間ってなんとなく気分が浮ついちゃうんだよね。





腰に手が回されてさらにジュンスへと引き寄せられた。



ジュンスは声を潜める必要もないのに私だけに囁くように、




と年越しできるなんて、すっごい嬉しい。」





細められた目がイルミネーションと同じくらい輝いている。


綺麗な瞳。







周りのざわつきがだんだん大きくなって、大時計のイルミネーションも色が変わった。



いよいよカウントダウンのとき。






「ジュンス、来年も活躍、期待してるからね。」


「んー? ふふ、かっこいいとこいーっぱい見せちゃおうかな。」


「かわいいとこも見せてね。」


「そのイメージはだいぶ前に脱ぎ捨てたつもりなだけどなあ。」


「全然捨てきれてないよ。」





お互いに腰に腕を回して密着体勢を取る。



大勢の人たちと最後の5秒のカウントを叫んで、最後の1秒で私はジュンスに勢いよく振り向く。




公の場でキスをする勇気は、ちょっと私にはないから。



写真を撮られでもしたら大変だしね?





「わっ!」


「ハッピーニューイヤー!ジュンス!」





せめて力いっぱい抱きつくくらいで許してね?





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2015.1.14