「ジェジュンも大変だねー。甥っ子姪っ子がたくさんいると。」
のマンション、丸炬燵の中。
半纏を着てぽち袋を何枚も相手にペンを走らせるジェジュンの姿に、はテーブルから声をかけた。
「お年玉だけでどれだけ飛んでくの?」
「まあ、それなりに。」
「子どもはうらやましいわ、こんなイケメンなおじさんからお金がもらえるなんて!」
「はは、もほしいの?」
ぽち袋の表には差し出す相手一人ひとりの名前。
裏面にはかわいらしい字で「ジェジュンより」と、一枚ずつ手書きで用意しているジェジュンを見て、マメだなとは感心した。
お年玉なんて最後にもらったのはいつだったか。
もう思い出したくもないほど昔だった気もする。
「そりゃあ……もらえるものはほしいけど。お年玉って子どもだけの特権でしょー?」
期待に満ちた目でジェジュンの背中をチラリと見やる。
その視線に気づいたのか、ジェジュンは半分だけ振り返ると手先でちょいちょいとを呼び寄せた。
狭い丸炬燵に大人が二人も入るとだいぶ身動きが取れなくなる。
ジェジュンはそれを上手く利用するように、の腰に腕を回して距離を縮めた。
「ほしい?」
些か彼の雰囲気が変わったように思えた。
しゃべり口調も表情も何一つ変わっていないのに、を隣に置いただけでこうも変わってしまうものなのか。
く、と顔と顔の距離がさらにつまり、は思わず息を止めた。
「だけの特権。」
どれだけ一緒にいても、この顔が近くにくるとそれだけで緊張してしまう。
それはある種の条件反射のようなもので、慣れようと思っていても生易しいことではなかった。
「私だけ…?」
「そう、だけのお年玉。」
そう言うが早いか、滑らかな動きでの頬を捉えると唇は迷うことなくのそれへ重なった。
上唇を啄ばみ、吐息を交えて全体を覆う。
絶妙な呼吸のタイミングを与え官能的な動きでの思考を支配するかの如く。
遠慮がちに舌先が触れたと思いきや、静かにジェジュンが離れていく気配を感じ取り、は瞼を開いた。
「…ほんとに、私だけ?」
「なに、どういう意味?」
柔らかい笑顔の主は今もまだの頬を優しく撫でている。
「ドラマとか映画で女優さんによくしてるの、知ってるよ。」
「じゃあ、この先、進んでみる?それこそだけだけど?」
「…ふふ、」
ジェジュンの首に腕を回して、今度はからキスを仕掛けた。
見計らっていたかのようにの背に回されるジェジュンの手。
子どもには与えられない、大人だけの特別な賜物。
---------------
2015.1.14