ふわふわの毛布にくるまり、身を寄せ合うように体温を共有する。



子どものようなの寝顔を眺めながら、自身にも襲い来る睡魔に徐々に身を委ねていく。





抱き枕のウサギを抱きしめて眠るは、とても健やかな表情をしていた。



昔見た寝顔よりもずっと大人びていて、しかしどこかにまだあどけなさを含んでいて。





際限なくこみ上げる愛おしさを伝えるように、を優しく抱きしめると意識を飛ばすように眠りに落ちた。

























「あ、おはようよざいます。」




楽屋入りすると、すでに到着していたメンバーたちの視線が一斉に向けられた。



眠たそうな目でメイクに取り掛かろうとするチャンミンが、何かを言いたそうにジェジュンを見ている。


それを横目にコートをハンガーにかけていると、ユチョンがさも楽しげな顔をして近寄ってきた。





「突然泊まるなんて言い出すからビックリしたよ。彼女んとこ、楽しかった?」


「誤解してるようだから言うけど、ユチョンが想像してるようなことは何もないからね。第一、彼女じゃないし。」


「え? 毎晩遊び行ってた、例の幼馴染の人のとこにいたんじゃないの?」


「そうだけど――」


「もしかしてヒョン、まだ告ってないの?」


「……言ってない。」


「それなのに泊まってきたの?」


「いやだから、ほんとに何もないんだって。ほんとに眠って起きただけ。」





何を必死に弁解しているんだか、と自分でも思う。



を抱きしめて寝ていた手前、完全に潔白とは言い切れないものの本当にそれだけ。


逆に必死になりすぎて怪しく見えるのかも、と思い始める。




しかしユチョンが怪訝そうな顔をするのもわからなくはなかった。



恋人関係でもないのに同じ空間で夜を明かすというのは、かなりグレーゾーンに入り込んでいる気がする。


ましてや自分の職業のことを考えればなおさら。



もし出入りするところを写真に撮られていたら、に迷惑をかけてしまう。






「ジェジュンヒョンさぁ、好きなんでしょ?幼馴染さんのこと。」





いっつも楽しそうな顔して遊び行ってたもんね。



ユチョンの声は楽しそうに、でも少し呆れたように言葉をつづける。







「ずーっとあいまいな関係でいるよりも、はっきり気持ち伝えたほうがいいんじゃない?」






ユチョンの言葉に続くように、「もうすぐクリスマスですからねえ。」と呟く声。




ガラス越しにチャンミンと視線がぶつかる。



その目はまるで背中を優しく押してくれるような、温かい目をしていた。






























は一日中、まどろみの中にいるような感覚で過ごしていた。





朝、目が覚めた時には既にジェジュンは起きていて、仕事に向かう準備を済ませていた。


勝手知ったるようにキッチンを使いこなし、コーヒーを飲みながらくつろぐ姿に思わず見惚れて。



寝ぼけ眼のに柔らかく笑いながら、「行ってくるね。」と仕事に向かったのだ。



その背中を見送ったのは覚えている。





それからずっと、起きているのにどこか頭の中がふわふわするような、そんな感覚が離れない。



顔を洗っても、コーヒーを飲んでも、洗濯をしても、テレビを見ても。




それは朝、目が覚めた瞬間の感覚に近く、包み込まれる安心感に似ていた。





なにか、そういう夢をみたのかもしれないが、思い返そうとしてもまったく心当たりがない。






逆に記憶によみがえるのは、昨夜のやりとりのことだった。




帰りたくないとこぼしたジェジュンに、ふいに口をついて出た言葉。



今思えば、すごいことを言ったなと自身の大胆さに感嘆できる。




変な同情や気遣いから言ったのではなかった。


あの言葉を返すのがとしては当たり前だと感じたから言っただけ。



それはジェジュンだから言えたことだが、違う相手には同じ言葉はかけられなかったと思う。






ため息ひとつ、時計の秒針の音に少し寂しさを感じる。






カレンダーに目をやり、は小物入れの引き出しを開けた。









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2016.12.28