突然のスケジュール変更を、これほど恨んだことはなかった。
よっぽど不機嫌さが顔に出ているのか、周囲のスタッフが先ほどから窺うようにしてジェジュンを見ている。
マネージャーはそんなジェジュンを見て見ぬふりで、航空チケットを各メンバーに配布した。
22日からのはずだったドイツでの仕事が、急遽前倒しとなり今日出発となってしまった。
しかも、その分早く切り上げられるわけでなく終了は予定通り25日。
移動時間を考えて余裕を持たせたいという上の判断らしい。
いつもだったらありがたい配慮だと思えるのに、今回ばかりは余計なことをしてくれたと恨みがましい言葉しか出てこなかった。
にしばらく行かなくなるという旨を連絡し、深くため息をつく。
こんなことなら昨日、の家に行っておくべきだった。
おとといは仕事が長引き、そして昨日はひどく疲れていたために行かなかったのだ。
邪険にされないのをいいことに毎晩足繁く通っていたから、からしてみたら久々の一人の時間でゆっくりできたのかもしれないが。
それでも、の顔を見ておくんだったと一人後悔する。
搭乗案内のアナウンスが流れ、アタッシュケースを引きずりながら重たい足取りでゲートをくぐった。
ジェジュンからの連絡を見たは、渡そうと用意していた部屋の合鍵を引き出しに戻した。
短く息を吐いてコーヒーを淹れる。
ジェジュンとの距離が今までとは違った意味で縮まっていると感じていた。
だから、いつでも好きなときに来てほしいと、合鍵を渡そうと思った。
その時に自分の気持ちも一緒に告げられればいいと。
その矢先に、タイミングが悪い。
昨日、おとといとジェジュンはこの部屋には来なかった。
仕事が長引いてるから今日は遠慮しておく、疲労が溜まりすぎて運転できそうにない。
連絡は逐一くれていたから、避けられているわけではないと思う。
そう思いたい。
今まで当たり前に一人で過ごしていたこの部屋が、夜になるととても寂しく感じてしまう。
それほどにジェジュンが来ることが当たり前になっていた。
食材も二人分を常備して、マグカップも新しく買い足して。
ジェジュンが来ることを何よりも楽しみにしていたことを、今さらながらに実感する。
今までのクリスマスは仕事詰めで、正直それどころではなかった。
しかし今年は違う。
ともに過ごせるだろうかと思った人は、異国の地で仕事に精を出す。
一人きりで過ごす久々のクリスマスを、は少しだけ恨めしく思った。
そこへ、携帯がメールの受信を告げる。
気だるく思いながらメールを開封したは、その内容にいくらか機嫌をよくし、すぐに返信メッセージを作り始めた。
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2016.12.28