噛みつくようなキスのあとは、決まって熱い吐息が肌に触れる。
頬に、首筋に。
ある種ユチョンの癖みたいなもので、合間の息継ぎのときもそう。
髪に隠れた瞳を窺う間もなく唇を奪われる。
そんなに急かなくても、と内心小さく笑いながらも、跳ね上がる心を抑えられない私も私だ。
軟弱な私の夏
基礎体力のない私は駅構内の階段の上り下りでさえ息を切らしてしまう。
だからこそ、日頃は常にエコでいたい。
特に夏場は。必要最低限のエネルギーで生活をしたい。
そう思うのは簡単だけど実際省エネ生活ができるかというと答えはノーだ。
寝坊をすれば急ピッチで支度をしなきゃいけないし、遅刻しないように全速力で走らなきゃいけない。
作り終わった企画書を提出したって一回で通ったためしがないし、そうなるとオッケーが出るまで書き直しの連続。
夜は付き合いで好きでもない酒を酌み交わし、連日油もので大ダメージの胃は休まる暇もない。
たまの休日くらい何もしないで一日過ごしたいけど、だけどその休日こそが恋人と過ごせる唯一の時間。
どちらをとるかと聞かれたら、答えは一択しかない。
荒い呼吸をお互いに聞きあって、思わず笑ってしまった。
私もユチョンも運動した後みたいにはあはあ言ってる。
ただキスしただけなのに。
洋画のようにおでこ同士をくっつけて、息を切らしながら笑っているとユチョンの腕が背中に回った。
そのまま肩口に頭を押し付けて、私もユチョンに密着する。
ユチョンの好きな柔軟剤の香りが胸いっぱいに広がる。
「クーラーの温度下げよう。」
低い声、抱きしめられながら笑ってそう言うから、ユチョンの体から振動になって伝わってくる。
まるで子どもになった気分。
私よりも逞しい腕の中で、全身を預けてもたれているとここから動きたくなくなる。
「、珍しいじゃん。こんなに甘えてくるなんて。」
「堪能しときなさいよ、今だけなんだから。」
密着した状態で何度もキスを交わす。
熱い吐息が頬をかすめる。
比例して私の心拍数はどんどん跳ね上がる。
このままきっと、のぼせてしまう。
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2016.8.25
最初の一文だけ書きたかっただけ。
しかしタイトルはもうちょっとどうにかならなかったんですかね…ひどすぎる。