「、来週の土曜がオフになりそうなんだけどさ。どっか行く?」
「え、でも久々のオフでしょ、家でゆっくりしたら?」
「……はそれでいいの?」
「一緒にいられれば、それで…って、なにニヤけてんの。」
「…いや、嬉しいなと思って。」
夜もふけた深夜。
寝ずに俺の帰りを待っていてくれたは、俺が帰宅するとすぐに風呂を沸かして軽食を作ってくれた。
他愛もない話をしながら食事に付き合ってくれて、二人で寝床に着く。
の気遣いには本当に頭が上がらないし、嫌味のないこの感じが俺にはとても心地いい。
改めて夫婦になってから約一ヶ月、俺は日に日にに溺れるように恋をしている。
11.一月過ぎて
同じベッドで寝るようになってからも、早一ヶ月。俺は未だにドキドキしている。
隣から心地いいの声が聞こえることにすごく安心する。
声だけじゃなく、の香りや体温、呼吸の音。
煩わしさなんて覚えることもなく、俺の隣にいることが自然と当たり前になっている。
「あのさ、」
片腕で頭を支えて体をに向ける。
少し目がまどろんでいたはゆっくりとした動作で顔だけをこっちに向けた。
「新婚旅行とか、行けてないだろ。…だから近いうちに時間とって、行ければなって思ってるんだけど。」
「…あー、そっか。そういえばそうだね。……新婚旅行かぁ。」
「はどこか行きたい場所とかあるか?」
「んー……人の目を気にしないで、手をつないで歩けるところがいいかなー。」
眠そうに微笑んで、「ユノは人気者だからね。」と呟く。
続けて、一緒にいられればそれでいいと、さっきと同じ言葉を紡ぐ。
静かな部屋の中での柔らかい声音に俺は胸を鷲掴みにされた気分だった。
眠りに落ちたらしいからは規則的な呼吸音が聞こえてきた。
安らかな寝顔。こうやって眺めると、は少しあどけない顔立ちをしている。
頬を軽く撫でてみても起きる気配がない。
仕事で疲れてるのにこんな遅くまで起きてたんだから当たり前か。
正式に夫婦になって一ヶ月経ったとはいえ、その間ずっと一緒に生活ができていたわけではなかった。
海外でのスケジュールや地方でのライブが重なって、この一ヶ月で家に帰ってきたのなんて片手で数えられる程度。
それも夜遅く帰ってきて朝早くにはまた家を出ての繰り返し。
と一緒に過ごす時間がほしいと思えば思うほど、物理的な距離が生まれるばかりでもどかしい日々だった。
自分でもびっくりしてる、こんなにを好きになるなんて。
何がきっかけでこんなに惹かれたのか、正直よくわかってない。
最初は何でこんな目に合わなきゃいけないんだって思ったし、早く解放されたいってそればかり考えていたのに。
今はがいない生活が考えられない。
「一緒にいられれば、か……」
の言葉にありがたさと申し訳なさが沸き立つ。
それでもきっと、俺が謝ることにはきっといい顔をしないだろうから、
「ありがとう、。」
安らかに眠るを抱き寄せて、寝息を聞きながら瞼を閉じた。
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2014.6.3