今更悔やんだって仕方がない。
俺が変な切り出し方をしたから、こんな空気になったんだから。
の気持ちだけ確認して、とりあえずこの話を終えてしまおう。
そう決意して口を開こうとしたときだった。
「ユノは、赤ちゃんほしい?」
14.お願いが一つ
さりげない上目遣いのに、その言葉。
ときめかずにはいられなくて、俺は変な風にどもってしまった。
こんなときでさえ冷静でいられないのは、男の性なんだろうか。
それともただ単に、俺が情けないだけか。
顔を赤くしているに、言葉を選びながら俺の意思を伝える。
傷つけるような言い方だけはしたくなくて、でもどういう言葉なら伝わるかいまいち不安で、俺のみっともなさはどんどん露呈していく。
「いずれは、ほしいと思ってる……けど、今はまだ、と二人の時間を、ちゃんと……あー、大切にしたい。」
俺はを直視できてないけど、はじっと俺を見つめているのが横目でわかる。
本来は俺も目を合わせなきゃいけないってわかってるのに、まるで思春期の時みたいに度胸がなくなってる。
ますます情けない。
「俺たちの時間をちゃんと大切にして、ゆとりができたら、って思ってる…でも、とずっとこのままの距離でいたいわけでもなくて、」
「……うん、」
「もっと近づきたいし、大切にしたいし、愛したいし……」
そこまで言って、ようやくの顔を見ることができた。
顔を真っ赤にして潤んだ目を大きく開く彼女の顔を見て、言葉が詰まった。
俺は今なにを言った?
「や、ごめん、ちょっとストップ!俺、変なこと言った、今のなし!」
まるで盛りのついた男子だ。
この話の流れでなんてことを口にしたんだ。
が赤面して当たり前だ。
俺自身も、自分が言った言葉にあたふたしてしまっている。
「ユノ、」
「ごめん、今のは忘れて。」
「そうじゃなくて。……そう思ってくれてるなら、すごく、嬉しいから…。」
ぽつりと、小さいけどはっきりと聞こえたの言葉。
潤んだ目はまっすぐに俺を見ている。
恥ずかしそうにはにかみながら。
「ユノが好き。……だから、ユノがいやじゃなければ、……近づいて、ほしい。」
俺たちはなんて純情な関係だろう。
我ながら感嘆してしまうほどに、プラトニックな関係だった。
今の今までは。
目の前のが愛おしくて、好きだという気持ちが今まで以上に強くなった。
こんな風に心が誰かに占められたことなんて、一度もなかったというのに。
の存在は、本当にすごく俺にとって大きいんだと実感する。
「私も、ユノに近づきたい。」
精一杯の言葉だなんて、わざわざ聞かなくてもわかることだ。
初々しいこの姿を、俺だけが独占している。
多幸感に浸る俺は、口角を上げられずにはいられなかった。
「をください。」
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2015.6.3