他人の寝息に目を覚まし、ぬかるんだ底から意識を引きずり出す。




温かい布団の中で寝返りをうって、それまで背後で気持ちよさそうに寝ていたユノの頬を抓った。



眉間に少ししわがよる。


重たげに瞼が開いて、手を振り払われた。




そのまま引き寄せられて腕の中へ。


ユノがいつも使っている柔軟剤の柔らかい香りが鼻をつく。





……もう起きる?」





再び瞼を閉じて、半分寝入った状態でユノは私に問いかける。



スローなしゃべり口、回っていない呂律が可愛くて、なんとなくユノにすり寄ってみる。





「起きようかな。」


「……起きちゃうの、」


「だめ?」


「ん……離したく、ない……」





きゅ、と抱きしめられる。



二人分の体温で温まっている布団の居心地はまさに天国のようで、そう言われるともう少しこのままでいようかと迷ってしまう。





また寝入ってしまったかと思えば、とても眠たそうにユノの目が開いてぼーっと見つめられたあとまた閉じた。



もぞもぞと気怠そうに身じろいで、ユノは私と顔の距離を縮める。


鼻筋の横、目の下あたりに唇が触れて、くすぐったくなる。




間近に見るユノの顔。


唇の左端、すぐ真上にあるほくろの色気にやられてしまった私は、体の中から力がずるりと抜けていくのを感じた。




当の本人は相変わらず目を閉じて半ば眠りかけている。






「すき、」





私が呟いたその言葉も、今のユノには聞こえていないかもしれない。



それでもいい、目の前で穏やかに眠るユノを見ているだけで幸福感でいっぱいになれる。





ユノの香りに包まれながら、私ももう一度目を閉じた。











いとしきみ、







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2015.10.6

穏やかな朝を過ごしたいという願望。
どうでもいいことですが私はゆのの唇の上のほくろが大好きです。